車通りの多い交差点、信号が赤を示していた。
当然、歩行の人たちは足を止める。
ところが、付き添う母の手から3歳ぐらいの女の子が、大きなトラックの前に急に飛び出してしまったのだ。
しかし、女の子は全くの無傷で済んだという。
何故か?
キリランシェロ「そうみたいだね。」
ハーティア「あー、面倒だな。さっさと二人でやっておい…いや、なんでもないよ、アザリー。」
アザリー「制限時間もあるみたいだから、ひとまず答え出しておいてくれない?」
ハーティア「そうだねぇ、トラックにぶつかる寸前に魔術でふせいだ、とか、穴を掘って回避したとか。」
アザリー「なんで小さい女の子が魔術とか使えると思ってんの?ふざけないでくれる?ねえ、キリランシェロ。」
キリランシェロ「いや、でも何かしらの方法で無傷で済んだっていうのは確かだよね。」
ハーティア「だろ?」
アザリー「ちょっと待って。ここに先生からのヒントがあるわ。“問題文をよく読め。この手の問題は、ただそれだけに限る”だって。」
ハーティア「意味がわからないな。先生のことだから何かしらの意味はあるんだろうけど。」
アザリー「何よ、キリランシェロ。」
キリランシェロ「赤信号だったからって、女の子とその子の母親は止まっていたっていうことはないよね?」
アザリー「何で?」
キリランシェロ「彼女達が、赤信号によって止まってべき位置にいるという証拠がないとか」
ハーティア「確かにそうだなぁ。その女の子達が、違う角度から青信号により進んでいる可能性もあるね。」
キリランシェロ「そうなると、着目点はトラックの方かな。間一髪で避けた、とか、ブレーキをかけた、とか…は、単純過ぎるか…。」
ハーティア「いや、そもそも女の子が避けることもトラックがブレーキをかける必要も無かったという可能性は?」
トラックが動いていたとは書かれていない。
いくら停車しているトラックの前を飛び出しても、怪我はしないだろう。
また、「赤信号なので他の車に当たるのではないか?」という意見に対し、「停車するトラックの前に車が通るはずがない」「女の子が居た位置が赤信号によって停まるべき場所だとは限らない」等、いくらでも説明がつく。
ハーティア「なんかさ、チャイルドマン先生が考えたというわりに、せこい問題だよね。」
アザリー「穴を掘って逃げたとか言っている人よりマシよ。」